UXD/HCD ワイワイCAFE “BITTER”第1回 「メンタルモデル・ダイアグラムで学ぶ定性(質的)分析・親和図法」開催レポート

カテゴリー: 主催セミナー

こんにちは。Service Design lab. 佐藤です。

今回のワイワイCAFEは”BITTER”と称して、少し難易度を高めたセミナー・ワークショップを企画していくシリーズの初回となります。

これまでにご参加いただいた皆さまのご意見のなかで、もっと実務に近い定性分析(親和図法)をやってみたいとの声が寄せられていました。

そこで、​『メンタルモデル ユーザーへの共感から生まれるUXデザイン戦略』を邦訳された酒井洋平氏、羽山祥樹氏を再び講師にお迎えし、1月31日(土)に「メンタルモデル・ダイアグラムで学ぶ定性(質的)分析・親和図法」を開催しました。

208切片※と向き合うワークショップ

本ワークショップで取り扱う調査データは、実際に羽山氏が既存ニュースアプリの改善のためにインタビュー調査をした発話録を基にしており、チームに与えられる切片数はなんと208。
※切片[せっぺん]とは、発話録などの定性調査データの中にあるユーザーの心理・行動などを個別に単位化したもの

通常のワークショップでは時間の関係などで数十枚程度の切片で実施することが多いですが、実地のプロジェクトでは数百を超える切片を扱うことが多々あります。
今回は”BITTER”シリーズということで、難易度が高く本格的な定性分析ができるようワークショップを設計し、3時間以上も分析をするというハードな組み立てとしています。

まずは、参加者各自に手渡された分厚い発話録を読み込みです。
今回Aさん、Bさん、Cさんという3名分のインタビュー発話録があるため1チーム3名で手分けし、インタビュアーとの質問のやりとりを含め発話のなかにある行動の様子やその気持ちなどを理解していきます。

発話録の読み込みが終わると、次は切片の準備。

既に切片化は講師側で済ませた状態ですが、その切片の要約の仕方のコツとして分析者側の推測を入れてはいけないことや、単語だけでなく動詞を含めることなどを教わります。
そして、ハサミでどんどん切片を切り取りボードに貼っていきます。

“似ている”切片を近づける難しさ

さて、ここからが本番。
200近い切片を貼り出しながら”似ている”切片をグループとして近づけていく分析作業に入ります。
ここが親和図法における難しさや苦しさ(BITTER感)を味わう時間となります。

切片に同じ単語が入っているから”似ている”と集めていくような単純な分類に陥らずに、発話しているユーザーが行動したときの前後の文脈の流れや、背景にある心理などを踏まえながらグループ化を進めるのが鉄則です。
そこには正解はありませんので、とにかく試しに切片同士を近づけては離し、グループの塊を作っては壊し、チーム全員で悩みながら作業を続けます。

徐々にグループが出来上がってきたら、次は”見出し”を付箋に書きそれぞれに付けていきます。
ここも参加者が頭を捻るところで、グループにした複数の切片を抽象化した文言を考えるのですが、ここでも単に単語ひと言で集約するのではなく、ユーザーがどうしたいかという動詞を入れた文章にする点を学びます。

講師の羽山氏曰く、この親和図法の作業のなかで「先が見えない恐怖」や「全体像が見えてこない恐怖」を感じるかもしれないが、拙速に枠組みや軸によって効率よく整理しようとせず、親和図法を一度通しで何時間も掛けて体験することではじめて理解が深まり技が体得できると言います。

体験して初めて分かる親和図法の真髄

ワークショップが終了し、最後に9チームからの発表です。
今回は出来上がった親和図の中身をご説明いただくのではなく、ワークショップで親和図法を体験した感想・印象をいただきました。

“ユーザーの矛盾した気持ちを表すにはこのような手法がわかりやすい”
“複数人でワイワイやることで一人では思いつかない分析ができる”
“このような業務ではよく軸を作って分類しがちだったことに気付いた”
“序盤は考え過ぎて、切片のまとめに時間がかかった”
“グルーピングにおいて、いつ、どのように、なぜ、という視点を持つと進むというコツがわかった”

“発話しながらワークショップをすることでお互いの認識合わせができた”
“大量のデータを分析する際に、今日のようにタイトな時間割でやったほうが集中できる”
“見出しのラベリングがうまくいったときは気持ちいい”
“はじめから完璧にやろうとせず、進んでから考えることの大事さがわかった”
“3人のなかで、うまく役割分担ができあがった”

主な感想をまとめましたが、参加者の皆さんが今回のワークショップを経たことで、親和図法のような定性分析に対して気負わずどんどん挑んでいくスタンスを持っていただいたのではと思います。

参加者の皆さんが今後定性分析に取り組む際に、本日の経験が少しでも役立っていただければと願っております。
以下、当日のスライドとURLを掲載しました。今後の実践の場面でご活用ください。

「メンタルモデル・ダイアグラムで学ぶ定性(質的)分析・親和図法」資料

今後も「UXD/HCD ワイワイCAFE」では、第一線の現場で活躍する講師陣をお招きし、実践で役立つセミナー・ワークショップを企画していきます。